カテゴリーの常識を捨てる
クライアント
株式会社インユー / IN YOU MARKET — オーガニック商品のEC
期間: 2019年02月 – 2024年12月 役職: ブランディングデザイナー → ブランドマネージャー・商品ストラテジスト → COO・クリエイティブディレクター
担当範囲: UXリサーチ/UI・UXデザイン/ブランド戦略/プロダクトマネジメント
1. 課題
目標は「THE ORGANIC VOICE OF JAPAN」から「TO THE WORLD」へ。世界のオーガニック市場において、日本が占める割合はわずか3%である(米国45%、EU35%)。市場規模は2019年の900億ドルから2021年の1,120億ドルへ拡大していた。
外部要因: 日本と海外のターゲット層は似た関心を持つ一方で、購入の決定動機は異なる。

内部制約:
| 制約 | |
|---|---|
| 言語 | 2,500SKUを扱い、商品情報は複数のセクションに分散し、すべて日本語だった |
| 集中在庫 | 倉庫は商品ごとに1SKUしか扱えず、SKUの重複による運用コストは負担できない |
| 事業継続 | 実施期間中、日本の事業を一瞬たりとも中断させることはできない |
| 限られたリソース | プロジェクトを遂行するための人的・財務的リソースが限られていた |
2. 調査
2019年以降、IN YOU Journalの読者から IN YOU MARKET へ流入し、購入した紹介経由ユーザーの85%を対象にアンケートを実施した。ブランドの再定義は、回答そのものからではなく、3つの情報源を突き合わせることで導き出された。
| 情報源 | 種別 |
|---|---|
| ユーザーのデモグラフィック・サイコグラフィックデータ | 定量 |
| 異なるビジュアルコードで実施したキャンペーンA/BテストのPVとCVR | 定量 |
| アンケート末尾の自由記述:改善点と利用への期待 | 定性 |
発見: 日本でオーガニック商品を実際に購入しているのは、購買力のある都市部の女性であり、カテゴリーが長年描いてきた農村的・自給的な人物像ではなかった。
海外市場へ展開する際、同じ手法から異なる人物像が浮かび上がった。
| 日本 | 海外 | |
|---|---|---|
| デモグラフィック | 女性80% · 30〜55歳 | 女性70% · 25〜60歳 |
| 商品情報 | 詳細を求める | コンパクトで整然としたもの |
| オーガニック認識 | 習熟の途上 | すでに定着 |
| 購入決定 | 健康・トレンド | 健康・日本 |

3. 判断
ブランド
このカテゴリーに定着したビジュアルコード —— 緑と茶、生産者的な佇まい —— が伝えているのは産地であって、買い手ではない。そこで、その慣習から意図的に距離を取り、オーガニック × ファッションの交点にアイデンティティを構築した。両者の配分は慎重に調整している。
コンテンツ
2,500点の商品情報と表組みの翻訳をAIで生成し、公開前に人間によるキュレーションを行った。翻訳チームを持つコストを負担せずに、この分量を処理するための判断である。
アーキテクチャ
海外のデータベースをAPIで基幹データベースに接続した。これにより、SKUを重複させることなく、また日本の事業を止めることなく、集中在庫での運用が可能になった。

4. ソリューション
ユーザージャーニー
同じ目標 —— 潜在的なロイヤルユーザー —— へ向かう、2つの異なる経路。
| ユーザー | 経路 | 期間 |
|---|---|---|
| アーリーバード | 広告 → LP → SNS → LP → 登録 → メルマガ → ECロンチ | 1ヶ月 |
| 通常ユーザー | 広告・SNS → 登録 → ECロンチ | — |

画面設計 / モバイルファースト
| 画面 | 設計上の判断 |
|---|---|
| Top | 弁当箱状のグリッドに配したバナー · 特徴バナー · 「Recommended for you」セクション |
| カテゴリー | ダイナミックフィルター · 1クリックでカートに入る · カテゴリー検索フィルター · 口コミセクション |
| 商品ページ | スティッキーなボタンバー · 口コミまで続くスティッキーセクション · 基本情報を表形式に変換 |
| 検索一覧 | 件数付きのファセット絞り込み:価格と条件(ヴィーガン、低糖質、ロー、砂糖不使用、オーガニック、マクロビオティック、グルテンフリー) |
| マイページ | 定期購入 · 履歴 · 再購入 · ウィッシュリスト · クーポン · メッセージ · 口コミ · サポート |
| カート → 支払い → トラッキング | ダイナミックカート · 住所 → 支払い · ステータス別の注文追跡 |
| 管理画面 | ドラッグ&ドロップによるトップページの構成 |

5. 実行
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2021・22 | CEOとの会話から、海外展開の事業アイデアが生まれる |
| 2023/03 | 外部のPMとエンジニアを採用 |
| 2023/09 | 進捗も計画もなく、社内PMで進める方針に切り替え |
| 2023/10 | 社内PMがECのコンセプトとデザインを策定。フルリモートのBE・FEエンジニアを採用 |
| 2024/02 | PMが退職。多くの未解決事項を残したままプロジェクトが停滞 |
| 2024/03 | 私がプロジェクトを引き継ぎ、チームのコミュニケーションとモチベーションを立て直す |
| 2024/08 | 3段階のMVPアプローチによりリリース |
MVPフレームワーク
2 + 2 + 4 + 2週間の4フェーズ。コンポーネント単位で進捗を100%まで計測した:Top、商品ページ、マイページ、決済、検索エンジン、翻訳、配送テスト、UXフィードバック、定期購入、管理画面。
想定外の課題
- 1人体制のフロントエンドが結果を出せず、3名の外部FEにより3ラップで解消
- バックエンドのサーバ設定エラーを社内1名の追加で解消
- Stripeの連携に失敗し、PayPal、最終的にSBPへ切り替え
- マーケティングのリソース不足により、アクティベーションが緩やかに推移

6. 成果
| 成果 | 内容 |
|---|---|
| 3カ国 | 日本のECサイトの国際展開を実現 |
| 2市場・単一在庫 | ログイン、定期購入、クーポン、決済、管理画面を備えたプラットフォームが、単一の在庫基盤の上で2つの市場を運用 |
| 5ヶ月 | 計画のないまま引き継いだプロジェクトから、リリースまで |
考え方
カテゴリーの常識ではなく、買う人がビジュアルを決める。 It is not the category's convention that defines the visual code, but the person who buys.